最近では、果物の摂取が疾病リスクを下げるという国の調査結果も出ています。
一方で、国内における果物の消費量は決して多くないのが現状です。
厚生労働省が推奨している果物の摂取目標量は、1日当たり200gとされていますが、日本人の果物の平均摂取量は目標値の半分程度とされています。
果物は、「健康に良い」という漠然としたイメージはあるものの、具体的にどのような形で健康に役立つかがあまり知られていないのではないかと思います。
そこで今回は、果物の栄養素には何が含まれているか、どのような健康効果があるのかについてご紹介します。
まず、果物はビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む食品です。
この点に関しては野菜と一緒です。
では、果物が野菜の代わりとなるか?といえば、そうとは言い切れません。
果物が野菜と異なるポイントは大きく2点です。
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- ビタミン、ミネラル、食物繊維の種類や組成が異なる
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- 決定的に違うのは糖質が多いこと、有機酸が多いこと
3大栄養素のひとつで、生命活動に必要なエネルギー源となります。
果物には主にブドウ糖・果糖・ショ糖という糖質が含まれており、果物の甘味を特徴づける成分となっています。
特にブドウ糖は、脳の活動に欠かせない栄養素です。
糖質の組成は果物の種類によって変わってきますが、 効率よく摂取できるエネルギー源として変わりありません。
食物繊維は厳密に言えば栄養素ではありませんが、機能性成分として近年注目されています。
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があります。
果物は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方を含みますが、成熟した果物は「ペクチン」と 呼ばれる水溶性食物繊維が比較的多いとされます。
水溶性食物繊維は、善玉菌を増やし腸内環境を整える作用があります。
他にも、糖質の吸収を遅らせて血糖値の上昇を抑える作用、コレステロールや胆汁酸の排泄を 促進してコレステロール値を抑える作用が期待できます。
果物に主に含まれるビタミンはビタミンCです。
その他にも、β-カロテンやビタミンEを含むものがあります。
β-カロテンとはビタミンAとなる前の物質で、体内でビタミンAに置き換わり免疫向上などに働きます。
ビタミンA、C、Eの3種は「ビタミンエース(ACE)」と呼ばれ、高い抗酸化作用を発揮するビタミンとしても注目されています。
果物に主に含まれるミネラルはカリウムです。
カリウムは体内における塩分の排泄を促進するため、高血圧予防に効果的とされています。
クエン酸、リンゴ酸などが含まれています。果物の酸味を特徴づける成分となっています。
疲労の元となる乳酸の分解に働くので、疲労回復効果が期待できます。
健康的な食生活を目指すためには、野菜だけでなく果物もしっかり食べたいところです。
食育推進の一環として厚生労働省と農林水産省が作成された「食事バランスガイド」では、1日に 約200gの果物を摂取することが推奨されていますので、参考にしてください。
とはいえ、果物含まれる栄養素や比率は、種類によって変わってくるので一つの種類に捉われずに いろいろな種類の果物を摂ることが理想的です。
1日200gを目指して、できるだけいろいろな種類を食べ、必要な栄養素をバランスよく摂取することを 心がけましょう!